『FINAL FANTASY XIV』（以下、FF14）は7月6日、Steam版における同時接続数4万8697人を記録（Steam DB）。歴代過去最高値を叩きだしている。本作が前回の同時接続数ピークを記録したのは2019年6月のこと。大型拡張ディスク「漆黒のヴィランズ」のアーリーアクセスが開始され、4万1200人ものプレイヤーが接続した。人気タイトルとはいえ、当時と比較すると、今回の同時接続数ピーク更新についてはいささか奇妙なタイミングに思われる。大型拡張どころか、アップデートのタイミングですらないからだ。では、なぜ多くのユーザーが『FF14』にアクセスしたのか。その原因は別のMMORPG、『World of Warcraft』にあるようだ。

『World of Warcraft』はBlizzard Entertainmentが運営・開発するMMORPGだ。「ウォークラフト」シリーズの世界観をベースに、モンスター討伐や他プレイヤーとの交流、PvPを楽しむことができる。17年もの歴史を誇る長寿ゲームにして、いまだ同時接続数5万4000人以上を誇るビッグタイトルである（Game Statistics and Live Player Tracker）。そうした『World of Warcraft』だが、つい最近まである課題を抱えていた。同作においては、長らくメジャーアップデートがなされてこなかったのだ。現行の拡張パック「World of Warcraft: Shadowlands」がリリースされたのは2020年11月のこと。以来、218日間にわたりアップデートのない期間が続いていた。コンテンツを待つプレイヤーからは不満の声が高まっていたのだ。

そうしたなか先週実装されたのが、待望の大型アップデート「Chains of Domination」だった。同アップデートでは新たな探索ゾーンやコヴェナントのレベル、そして7月6日より順次開放されていくレイドなど、多くの要素が追加。長らくの空隙に報いるアップデートとして、多くのプレイヤーの期待を集めてリリースされることとなった。

ただし長らくの期待を背負ってお披露目となった「Chains of Domination」は、必ずしもすべてのプレイヤーにとって満足のいく内容ではなかった。同アップデートに不満を抱いていたユーザーの一人が、TwitchストリーマーのAsmongold氏だ。同氏は有力な『World of Warcraft』配信者として知られており、チャンネルのフォロワー数は213万人以上におよぶ。そんな同氏だが、先週末にある決意を表明。『World of Warcraft』のライバルである『FF14』に初挑戦すると発表し、驚きをもって迎えられた。

というのもAsmongold氏は先だって、「Chains of Domination」の内容に対して苦言を呈していた。たとえば「新規マウントが45種類追加される」と謳っておきながら、その多くは同一マウントの色違いで水増しされていること。あるいはフルボーナスを得るために3つのジェムが必要となる新システムShards of Dominationについての不満など、早くから多くの問題点を指摘している。Asmongold氏は配信にて、最新アップデートを経た『World of Warcraft』の現状について言及。「多くの人が『World of Warcraft』から『FF14』に移行しているのは理解できる」と述べていた。こうしたなか、Asmongold氏は『World of Warcraft』の対抗馬である『FF14』を遊んでみることを決意。レベルアップブーストを使わず真っ向からゲームを味わってみたいとして、『FF14』をいちからプレイしている。

Asmongold氏の『FF14』初プレイ配信は269万人以上の総視聴者数を獲得。『FF14』の同時接続数が伸びを見せ始めたのは、同氏がはじめて『FF14』のプレイ配信をした7月3日ごろからだ。Asmongold氏以外にも、フォロワー136万人を誇るCohhCarnage氏などが7月1日より『FF14』のプレイを開始している。突然の『FF14』プレイヤー増加の背後には、こうしたストリーマーたちの動きが密接に関わっている可能性が高そうだ。

『FF14』においては、最新拡張パッケージ「暁月のフィナーレ」が11月23日に発売予定だ。秋の大幅なコンテンツ拡張に向け、今後も人口が増える可能性がある。一方、『World of Warcraft』における人口流出に歯止めがかかるかは、今後のアップデート次第となりそうな見込みである。『FF14』もまた、『World of Warcraft』から影響を受けているタイトルだ。MMORPG界の両雄が今後どのような動きを見せていくか、注目しておきたい。

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